税金奉行のふるさと納税解説書
ふるさと納税

年収670万円の会社員がふるさと納税できる上限額はいくら?【2023年版の計算結果】

年収670万円のサラリーマンがふるさと納税できる上限額の目安額を令和4年度の税制で計算してみました。年収670万円の場合は年間10.3万円まで実質負担額2000円でふるさと納税できます。配偶者控除や扶養控除がある場合も計算してみました。なお、正社員以外の派遣社員・契約社員でもアルバイト・パートなどの場合でも年収が同じならふるさと納税の上限額は変わりません。 (2023/01/17更新)

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以前の記事でサラリーマンのふるさと納税の上限額の計算をしましたが、今回は年収670万円に絞って手取り額を計算してみます。

なお、住民税の税率は自治体によって微妙に変わってくるのですが、今回の記事では標準税率である10%で計算してみます。

ふるさと納税の上限額の計算方法

ふるさと納税の控除には「所得税からの控除」「住民税からの控除(基本分)」「住民税からの控除(特例分)」の3種類があります。

それぞれの控除額の計算はこのようになっています。

所得税からの控除:(ふるさと納税額 - 2,000円) x 「所得税の税率」
住民税からの控除(基本分):(ふるさと納税額 - 2,000円) x  住民税の税率 10%
住民税からの控除(特例分):(ふるさと納税額 - 2,000円) x (100% - 10%(基本分) - 「所得税の税率」)

このうち「住民税からの控除(特例分)」は住民税の所得割の2割が上限となっています。

つまり、ふるさと納税の実質負担額を2000円に抑えるためには「住民税からの控除(特例分)」が住民税の所得割の2割で済む範囲でふるさと納税をする必要があります。

この範囲内の上限額がいわゆるふるさと納税の上限額となります。

この上限額を計算するために、まず年収670万円の場合の住民税の所得割の税額と所得税の税率を計算します。

給与所得控除を計算する

まずは給与所得控除を計算します。

え?給与所得控除って何ですか?
給与所得控除とは年収のうちの経費分です。
この分は税金がかからずに済みますよ。

給与所得控除とは簡単に言うと

「これだけの給料をもらっているなら、スーツを買ったりカバンを買ったり靴を買ったりして、仕事関係でこれくらいは使うよね」

という額で、税金を計算するときは給与収入からこの額を経費として引いて計算して良いことになっています。

給与所得控除はいくらくらいなんでしょう?
給与所得控除の金額は年収によって変わります。
年収が多くなるとその分控除額も大きくなりますよ。

年収ごとの給与所得控除額は

年収 給与所得控除額
55万円まで 全額
162.5万円まで 55万円
180万円まで 収入 x 40% ー 10万円
360万円まで 収入 x 30% + 8万円
660万円まで 収入 x 20% + 44万円
850万円まで 収入 x 10% + 110万円
850万円以上 195万円

となります。

年収が850万円を超えるとそれ以上増えても控除額は変わらないんですね。
そうですね。
上限額を超えると年収が850万円でも2000万円でも控除額は変わりません。

この表から年収670万円の場合の給与所得控除の額を計算するとこうなります。

年収670万円 x 10% + 110万円 = 177万円

社会保険料の支払額

次は社会保険料の支払額を調べます。

社会保険料ってなんの支払いですか?
どう税金に関係するんでしょう?
社会保険料というのは主に健康保険厚生年金雇用保険の3つです。
この支払いも住民税と所得税の控除に使えるようになっています。

健康保険は治療費を安く済ませるための保険で、病院で治療をした時に治療費の30%の支払いで済むようになります。

厚生年金は年金の上乗せ分で、厚生年金を払っているとその分支給される年金が結構上乗せされます。

雇用保険は仕事をしていない期間にお金をもらうための保険で、加入していると失業時には失業保険が、育児休業時には育児休業給付金がもらえたりします。

このあたりの社会保険料もほとんど税金のようなものなので、税金を計算する際は収入から引いて計算することができます。

社会保険料はいくらくらい支払うんでしょう?
健康保険料・厚生年金・雇用保険料で年収の14.22%くらいになるのが一般的です。

年収670万円の場合は健康保険料が年収の4.985%、厚生年金が年収の8.737%、雇用保険が年収の0.5%となるので、合計すると社会保険料は年収の14.22%ほどになります。

社会保険料の額を年収の14.22%として年間の社会保険料の目安額を計算すると

年収670万円 x 14.22% = 95.3万円

となります。

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基礎控除は住民税43万円&所得税48万円

住民税の基礎控除は43万円で、所得税はそれより5万円多い48万円となっています。

住民税&所得税控除の合計額を計算する

これまでの住民税控除の合計額を計算するとこうなります。

給与所得控除 177万円 + 社会保険料控除 95.3万円 + 基礎控除 43万円 = 315万円

また、所得税控除の合計額はこのようになります。

給与所得控除 177万円 + 社会保険料控除 95.3万円 + 基礎控除 48万円 = 320万円

住民税&所得税の課税対象額を計算する

年収から控除額を引いて住民税&所得税の課税対象額を計算します。

まず、住民税の課税対象額はこのようになります。

年収670万円 - 住民税控除 315万円 = 355万円

続いて、所得税の課税対象額はこのようになります。

年収670万円 - 所得税控除 320万円 = 350万円

住民税の所得割課税額を計算する

住民税の課税対象額に所得割の税率10%をかけると住民税の所得割額が計算できます。

課税対象額 355万円 x 住民税率 10%  = 35.5万円

所得税率を確認する

続いて所得税率を確認します。

課税対象額ごとの所得税率は

課税対象額 税率
195万円まで 5%
330万円まで 10%
695万円まで 20%
900万円まで 23%
1800万円まで 33%
4000万円まで 40%
4000万円以上 45%

となっているので、年収670万円の場合の所得税率は

課税対象額 350万円 ⇒ 所得税率 20%

となります。

ふるさと納税の上限額を計算する

住民税の所得割の税額と所得税率が計算できたので、いよいよふるさと納税の上限額を計算します。

ふるさと納税が実質負担額2000円で済むのは住民税控除(特例分)が上限額以下の場合になります。

ふるさと納税の住民税控除(特例分)の計算式は

(ふるさと納税額 - 2,000円) x (100% - 住民税率 10% - 「所得税の税率」)

となっていて、住民税控除(特例分)の上限は所得割の2割なので、ふるさと納税の上限額を計算する式は

(住民税所得割の税額 x 20%) ÷ (100% - 住民税率 10% - 「所得税の税率」) + 2000円

となります。

年収670万円の場合のふるさと納税の上限額はこのようになります。

住民税所得割 35.5万円 x 20% ÷ (100% - 住民税率 10% - 所得税率 20%) + 2000円 = 10.3万円

配偶者控除がある場合

専業主婦の妻がいる場合などは配偶者控除があります。

この場合は、所得税と住民税の課税対象額が変わるのでふるさと納税の上限額も変わります。

なお、配偶者控除の制度は平成30年度から新しくなっていて、給与所得控除後の所得が900万円(年収1120万円)・950万円(年収1170万円)・1000万円(年収1220万円)を境に控除額が変わるようになっています。

住民税の配偶者控除は所得が900万円以下なら33万円、950万円以下なら22万円、1000万円以下なら11万円なので、年収670万円の場合の住民税所得割の税額はこのようになります。

(課税対象額 355万円 - 配偶者控除 33万円) x 住民税率 10%  = 32.2万円

また、所得税の配偶者控除は所得が900万円以下なら38万円、950万円以下なら26万円、1000万円以下なら13万円なので、所得税の税率はこのようになります。

(課税対象額 350万円 - 配偶者控除 38万円) ⇒ 所得税率 10%

この所得割の税額と所得税率をもとにふるさと納税の上限額を計算するとこうなります。

住民税所得割 32.2万円 x 20% ÷ (100% - 住民税率 10% - 所得税率 10%) + 2000円 = 8.24万円

扶養控除がある場合

16歳以上の子供がいる場合などは扶養控除もあります。

例えば専業主婦の奥さんと高校生の息子がいる場合は、高校生の息子の扶養控除が33万円なので住民税所得割の税額が

(課税対象額 355万円 - 配偶者控除 33万円 - 扶養控除 33万円) x 住民税率 10%  = 28.9万円

となります。

所得税の扶養控除は38万円なので所得税率はこのようになります。

(課税対象額 350万円 - 配偶者控除 38万円 - 扶養控除 38万円) ⇒ 所得税率 10%

この所得割の税額と所得税率をもとにふるさと納税の上限額を計算するとこうなります。

住民税所得割 28.9万円 x 20% ÷ (100% - 住民税率 10% - 所得税率 10%) + 2000円 = 7.42万円
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年収ごとのふるさと納税額の計算

年収ごとのふるさと納税上限額もそれぞれ計算してみました。 よろしければこちらもどうぞ。

年収200万円以上の場合
200万円210万円220万円230万円240万円250万円260万円270万円280万円290万円
年収300万円以上の場合
300万円310万円320万円330万円340万円350万円360万円370万円380万円390万円
年収400万円以上の場合
400万円410万円420万円430万円440万円450万円460万円470万円480万円490万円
年収500万円以上の場合
500万円510万円520万円530万円540万円550万円560万円570万円580万円590万円
年収600万円以上の場合
600万円610万円620万円630万円640万円650万円660万円680万円690万円
年収700万円以上の場合
700万円710万円720万円730万円740万円750万円760万円770万円780万円790万円
年収800万円以上の場合
800万円810万円820万円830万円840万円850万円860万円870万円880万円890万円
年収900万円以上の場合
900万円910万円920万円930万円940万円950万円960万円970万円980万円990万円
年収1000万円以上の場合
1000万円1100万円1200万円1300万円1400万円1500万円1600万円1700万円1800万円1900万円2000万円

まとめ

今回は年収670万円の場合にふるさと納税額の目安額を計算してたところ、配偶者控除・扶養控除なしの場合に10.3万円という結果でした。

合わせて年収670万円の場合の手取りと住民税&所得税の計算の記事も参考にどうぞ。

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